肩が上がらない時に試して欲しい。お家でできる簡単ストレッチ。

四十肩・五十肩でお悩みの方が年々増えています。この症状は、肩の可動域が制限され、痛みを伴うため、日常生活に大きな影響を与えます。症状を緩和し、改善へと導くことが可能です。

四十肩・五十肩の概要と原因

四十肩・五十肩は、医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれています。この状態は、肩関節を構成する筋肉や腱、靱帯、関節包などの組織に炎症や拘縮(硬化)が許されることで、以下のような症状があります:

  • 肩関節の痛み:特に夜間に強くなる場合があります(夜間痛)。
  • 可動域の制限:腕を上げたり、背中に背負う動作が困難になります。
  • 関節の硬直:筋肉や腱の拘縮による動きの制限。

炎症のメカニズム

四十肩・五十肩の発症には、「腱板」と呼ばれる肩を支える筋肉群が関わっています。腱板は肩甲骨から伸びる筋肉で、上腕骨を包み込むように付着しており、肩の安定性やスムーズな動きを支えます。この腱板や周辺組織が、以下の課題で炎症を起こすと症状が現れます:

  • 老化による腱の劣化:加齢により腱の柔軟性が低下し、微細な損傷が生じます。
  • 血流不足:肩周囲の筋肉や関節包への血液供給が低下し、回復力が低下します。
  • 生活習慣の影響:長時間のデスクワークや猫背姿勢による筋肉の過緊張が肩への負担を増加させます。

肩以外の部位からの影響:全身的なアプローチの重要性

多くの人が「肩の痛み=肩周辺の問題」とよく考えますが、肩の動きは全身の筋肉の連動性によって支えられています。
特に、肩関節は手・腕・肩甲骨・背骨など複数の部位と密接に関係しています。このため、肩だけをケアしても症状が完全には改善しないことがあります。

肩関節の動きに関わる重要な部位

  1. 指・手首・前腕

    • 肩の動きは、指先から肩関節までの筋肉や腱の協調性によって成り立っています。指や手首が硬くなると、腕全体の動作が制限され、肩への負荷が増加します。
  2. 肩甲骨

    • 肩甲骨は「肩の土台」とも呼ばれ、肩関節の可動性を支える重要な部位です。肩甲骨が硬くなると、肩関節の動作が不自然になり、痛みを引き起こす原因となります。
  3. 胸椎(背骨)

    • 胸椎の柔軟性が低下すると、肩関節の動作制限が行われ、肩の痛みが生じます。姿勢改善も重要なポイントです。

セルフケアの具体的な方法

1. 指と手首の柔軟性を高めるエクササイズ

指や手首の硬さを改善することで、肩関節への負担を軽減する効果が期待できます。以下の動作をぜひ取り入れてください。

  • 指を大きく開く(パーの状態)
    指を最大限に広げ、数秒間保ちます。これを5〜10回繰り返すことで、指や手首の筋肉をほぐし、血行を促進します。
  • 親指と小指で輪を作る動作
    親指と小指をくっつけて輪を作りながら、ゆっくり腕を下げます。この動作は、指先から肩関節までの協調性を高めます。

2. 前腕(肘下)のストレッチ

前腕の筋肉を柔らかくすることで、腕全体の可動性が向上します。 特に前腕屈筋群と伸筋群(手首を曲げたり伸ばしたり筋肉にする)を意識してストレッチを行いましょう。

  • 方法:肘を伸ばす、もう片方の手で手首をゆっくり曲げたり伸ばしたりします。痛みを感じる場合は無理をせず、軽く動く程度にしましょう。

3. 肩甲骨の動きを改善するエクササイズ

肩甲骨の柔軟性を取り戻すことで、肩関節のスムーズになります。

  • 肩甲骨
    背中で両肩甲骨を寄せるように動かします。これを数秒間キープし、10回程度繰り返します。
  • 胸を開くストレッチ
    両腕を後ろに伸ばし、胸を広げるようにストレッチします。猫背の姿勢を改善する効果もあります。

4. 全身の連動を意識した動作練習

肩だけでなく、体全体の連動性を意識して動きを練習しましょう。以下のポイントを押さえてください:

  • 小さな範囲から範囲を始め、徐々に可動域を広げます。
  • 痛みがある場合は無理なく、できる範囲で行う。
  • 呼吸を整えながら動作を行うことで、筋肉の緊張を緩める。

炎症が治まった後のリハビリが重要

四十肩・五十肩は、炎症が治まるまでに数週間から数か月かかります
リハビリでは、以下の点を重視しましょう:

  • 無理のない範囲で関節を動かす:動かない期間が長くて筋力低下している場合があるため、可動域が広がるのを待ちます。
  • 血流を促進する:温めたり、軽いストレッチを取り入れることで血行を良くします。
  • 正しい姿勢を意識する:姿勢改善が肩への負担を軽減し、症状の再発予防につながります。

 

まとめ:肩を全体的にケアすることの重要性

四十肩・五十肩の改善には、肩周辺だけでなく、全身の連動性を意識したケアが重要です。
特に指や手首、前腕、肩甲骨、胸椎など、肩と関連する部位を柔らかくすることで、痛みの軽減や可動域の拡大が期待できます。

セルフケアを日常に取り入れつつ、症状が重い場合は専門家に相談することも大切です。無理をせず、自分のペースでケアを進め、肩の健康を増進しましょう!